福井県小浜市の郷土料理・ご当地グルメ
さばのへしこと聞いただけでは今一つピンとこない人がいると思いますが、江戸時代から福井県若狭地方に伝わる保存食で、数ヶ月以上かけて作られる料理です。
さばのへしこは、塩漬けのさばを、ぬかに漬け込んだ伝統料理で、漬物みたいな感じがしますが、出来上がるまでには短くても数ヶ月以上はかかり、冬場の保存食として伝えられています。
ちなみに、「へしこ」という呼び名は、魚を塩漬けにした後でぬか漬けにすることを意味します。すなわち、漬け込むことを若狭地方の方言では、へしこむといい、それがなまって、この名が付いたとのことです。さばがメインですが、ほかにイワシやニシン、あるいはフグなどで作られる「へしこ」は江戸時代中頃に始まったと言われています。その発祥は、小浜市あたりとの伝承もあります。
サバのへしこの食べ方はいろいろで、お茶漬けや焼き物、パスタ、あるいは酒の肴として食べることができます。
さばのへしこを3〜4切れと、ご飯とだし汁、塩と薄口しょうゆ、わさびと あられ、さらにはごまと海苔と三つ葉を用意して、だし汁に塩と薄口しょうゆを入れて火にかけます。
ご飯を器に盛って、さばのへしこを薄切りにして乗せてからお好みで海苔、あられ、ごま、三つ葉を散らして、だしをかけて、わさびを添えると、美味しいさばのへしこが出来上がります。
へしこそのものはいわゆるスローフードのひとつで、今でも一般の家庭で漬け込まれている地元の日常食品で、やや塩辛い旨みが凝縮されているので、お茶漬けのだし汁をかけるとちょうど食べ頃の味になります。また、日本酒との相性が抜群とのことです。
ちなみに、さばのへしこの主役はさばですが、この代わりになる魚は他にもありそうで、例えばいわしのへしことか、ニシンのへしこなどもあればいいのにと思うと、これもすでに福井県にはあるようです。
それにしても気長に半年ほども時間をかけて作るのですから、まさに忍耐力が勝負の料理で、これは福井県だけではなく北陸の人の特性が詰まった食べ物とも言えるでしょう。
気が短い人には不向きな料理とも言えそうで、インスタント食品が溢れている今の食生活に慣れている人には、さばのへしこの作り方は別世界化も知れませんが、興味がある人や料理が好きな人はこの食べ物に挑戦してみる価値がありそうです。もしかすると新発見で、現代風さばのへしこを作れるかも知れません。
近年では、2008年アメリカ大統領選の際、米民主党の候補として立候補し、当選したバラク・オバマと「名前が同じである」として小浜市の一部市民有志が結成した会『オバマを勝手に応援する会』が話題になった小浜市出身の著名人として知られるのは、歴史上では『解体新書』の翻訳者・杉田玄白、現代では元おニャン子クラブのタレント秋元麻巳子。(旧姓:高井)などです。
なお、追記して福井県出身の有名人をご紹介しますと、歴史に残る二・二六事件の時の第31代内閣総理大臣である岡田啓介は忘れることができない政治家と言えるでしょう。また、作家には、中野重治(野間文芸賞)や、高見順(プロレタリア作家)が福井県の出身です。
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